TechOptimizer 3.0 J Professional Edition 試用記
ある構成要素を取り除くと、別の何かがその構成要素が果たしていた機能を代わりに果たす必要があるわけですが、このときは、問題を設定して後述の「Effects」モジュールにジャンプするなどの連携が図られています。たとえば、避雷針を廃止し、代わりに周囲にある空気に「(雷の)電気を流す」という機能を果たさせるとすると「空気に電気を流させたい」という問題を設定した状態で後述の「Effect」モジュールを起動させることができます。
#プロダクト分析・プロセス分析は、GE社のVEツールを元にして、TRIZ(ITD)の一手法「トリミング」を組み合わせたものです。
また、今回のバージョンから効果と特許事例が同列に扱われるようになっています。たとえば、「機能グループ」の切り口で、「物質:分離する」→「固体物質を浄化する」と絞り込んでいくと、「エアナイフ(事例)」「コアンダ効果(効果)」などが表題の文字コード順に表示されます。事例と効果はアイコンの色でのみ判別できます。
この中から「効果」を選んで表示させると、右側の説明文中にその効果の応用事例のリストが表示されるのですが、いささか紛らわしいといえます。
【裏技?!】事例を選んでいない状態で「Contrl Link」(ツールバー右方の青いボールに下から二つの矢印が向かっているボタン)を選ぶと、効果だけが表示されるそうです。(三菱総研堀田様小西様、情報感謝します。'99/2/25)
事例の増加は、ユーザーの要望を素直に反映させたもので、実際「TRIZの教科書に載っている事例は古くさい重厚長大なものばかりだ」という従来の批判に見事に応えたものになっているのですが、効果と事例をばらばらに示されることで、背景の考え方が見えにくくなった恨みがあります。また、アニメーションでの説明のために全体のレスポンスが重くなっており、かなり高速なパソコンを必要とします。(今回はPentiumII 233MHzのノートPCでベータ版を試用。)
ちょうど、MSWordやExcelが、様々な機能追加をして動作が重くなり、分かりやすさが損なわれてきたのと同じ様な感じでしょうか。
実際に日本語版を動かしてみて、この点の改善は期待していた以上のものがあり、「Effects」などの基本的部分ならば、特に説明を受けなくても、設計者が独習で使えるレベルになった感があります。ただし、TRIZの基本的な考え方は是非知っておく必要があります。(私のお薦めはもちろん「TRIZ入門」です。)
一方で、事例が大幅に増えたことで、特に「Effects」では、やりたいこと(機能)と効果の関係がわかりにくくなってしまったのが悔やまれます。従来の様に、やりたいことから効果のみを表示し、さらに事例を必要に応じて表示させる構成も選べるようにして欲しいと思います。応急的には、見出しを「効果:コアンダ効果」の様にしてくれれば見出しのキーワードで「効果:」と指定することで効果のみに絞り込んで表示できるのではないでしょうか。
また、全体のレスポンスも改善を期待したいところです。「ツール」−「オプション」−「Effects」で「プレビューのヒントを表示する」のチェックをはずすと若干体感速度が向上するようです。(今回はベータ版で評価しましたが、製品版ソフトでは若干レスポンスが改善されているようです。)
最後になりましたが、ソフトの試用、本記事の掲載、画面図の使用を快諾いただいた三菱総研さんに感謝します。